[10]目標金額はいくらがベスト?掲載期間はどれくらいがいい?宣伝ってどんな風にすればいいの?

楠祐哉@餃子屋本舗/二代目

2021年03月26日 10:18





餃子屋本舗の楠です。ご覧いただきありがとうございます。

前回の記事ではファーストビューについて解説しましたね。

これでページ作りに関するテクニックは全て公開しました。

今回の記事では、私がつまづいたポイントでもある、目標金額の決め方やプロジェクト公開後の宣伝方法について説明します。

クラウドファンディングではページ作りと同じくらい宣伝が大切です。

宣伝しなければ、ページの存在すら知ってもらえず、支援してもらえることは無いからです。



目標金額の決め方は大きく分けて3つあります。



それぞれにメリット/デメリットがあり、金額が増えるにつれて、失敗リスクと資金必要性の説得性(図中の切迫度)が上がります。

また、クラウドファンディングの目標設定では金額そのものよりも、支援者の応援熱を維持できるかという視点が重要だと私は思います。

例えば、大きな目標金額を設定をすると資金必要の説得性が高まりますが、達成率が伸びないと応援熱が冷めて見放されてしまいます。





CAMPFIREの終了間際のプロジェクトを見ると、残り1日を切っても達成率が半分以下のプロジェクトがたくさん見つかります。

https://camp-fire.jp/projects?sort=last_spurt 

こうなると、スポーツ試合で大量得点差をつけられているのと同じ状態になるので、ファンですら応援熱が冷めてしまいます。

ですので、現実的に達成不可能な金額を設定するのはオススメしません。

理想的には、プロジェクト終了に向かって少しずつ達成率が伸び、最後のラストスパートで目標達成という流れです。

スポーツ観戦をする際に接戦が盛り上がるのと同じで、注目を集められた方が応援熱を上手く味方につけることができます。





また、私が選択した「実際より少ない目標設定」は、失敗リスクは低いですが、その後の運営が難しいのがデメリットです。

一部の人は達成後も、もっと頑張れと応援してくれますが、「もう達成したからいいだろう」と捉える人も出てくるため、応援熱を十分に生かせないのです。

それを回避するためにネクストゴール(次の目標額を決めること)を設定する手段もあるのですが、私はためらって設定しませんでした。

また、低い目標金額には、以下のようなメリットもあります。
・達成率が伸びやすいのでモチベーションが上がる
・2日で目標達成などと宣伝文句になる
・達成率が高いとリターンが良さそうに感じる




目標設定と同時に検討したいのが掲載期間です。

CAMPFIREの公式ヘルプでは、掲載期間が長いと失敗リスクが高まると指摘されており、65日以下を推奨しています。

私が観察した結果では、支援者が他人ばかりのプロジェクトでは、長い期間を掲載しても最後まで支援は増え続けていました

しかし、私のプロジェクトのように、主な支援者が知人や関係者の場合は、期間が長すぎると後半はダラけてしまいます

実際、私のプロジェクトは40日間で、はじめる前は短すぎると思いましたが、今ではこれでも長いと思っています。





CAMPFIREでのカテゴリ別検索順位は、24時間以内(推定)の支援額の伸び高によって決まります。

裏を返せば、支援額が伸びなくなると、下位ページに甘んじることになり、上位に出られなくなってしまいます。

そうなると、知らない人から支援を受けるのは難しくなってしまいます。

その仕組みを逆手にとって、ワザとプロジェクトの掲載期間を10日などと短く設定し、一気に支援額を伸ばして最後まで掲載上位に出続けていたプロジェクトもありました。

また、それと同じように、前半と後半に一気に力を入れて、その期間だけ検索順位を上げる工夫もしているところもありました。

ですから、知人に宣伝する際は小出しにするのではなく、短期間で一気に行った方が検索順位を上げる意味でも効果的です。





通販サイトでも同じことですが、ページを作っただけでは商品は売れません。

宣伝することでページの存在が知られ、はじめて商品の購買が起こります。

それはクラウドファンディングでも同じです。

どれだけ素晴らしいページを作っても、見てもらえなければ支援額は伸びませんので、宣伝することが大切です。

これはCMの影響によるクラウドファンディングの幻想ですが、ページを作れば自動的に誰かが支援してくれると思いがちですが、それはコンセプトがよほど強力な場合だけです。

その証拠に掲載終了間際のページを調べると、支援額がゼロに近いプロジェクトがたくさん見つかります。





実のところ私はページ作りの研究は行っていましたが、宣伝方法についてはそこまで調べていませんでした。

公開ボタンを押してから慌てて取り組んだので、場当たり的な行動になったと反省しています。

ですので、宣伝方法の正解は今も研究中なのですが、ここでは、私が行った方法のうち効果のあったものをご紹介します。

私が今回のクラファンで試したのは以下のとおりです。
・Facebook / Twitterでの告知
・Facebook広告
・友人へ直接宣伝
・CAMPFIREのトップページ広告(キービジュアル)
・CAMPFIREのトップページ広告(新着プロジェクト)
・CAMPFIREのニュースレター広告
・Twitterの拡散サービス
・プレスリリース
・店舗でのB0ポスター
・チラシ
・テーブルテント
色々と試してみましたが、本当に効果があったのは以下の3つです。
・友人へ直接宣伝
・Facebook / Twitterでの告知
・Facebook広告
私の今の支援額の8割以上はこの3つでカバーできたと思います。

(このうち、いくつかはご厚意により無料掲載していただきました)




私の場合、あらゆる宣伝方法の中で最も効果的だったのは知人に対する「ページシェアのお願い」でした。

プロジェクト公開日、私は知っている連絡先のほとんどに、以下のようなお願いをしました。
「お店がピンチでクラファンに挑戦していて、もし良ければ、このページを●●(学校などのコミュニティ)の知り合いにシェアして欲しいのですが、お願いできますか?あまり連絡先を知らなくて^^;」
今思えば、この文をみんなに送ったことが早期達成を手助けしたと思います。

ここでポイントが3つあります。
1.直接支援をお願いしなかったこと
2.ページのシェアをお願いしたこと
3.シェアをお願いする理由を添えたこと




セールスのテクニックで「But you are free」というものがあります。

これは何かセールスしたい時に商品やサービスの概要を説明した後で「けど、選ぶのはあなたの自由ですよ」と添えることで成約率が2倍になるというものです。

このテクニックの本当の使い方は、もっとたくさん話しかけた上で「But you are free」と最後に言うことなので、本家のやり方ではありません。

エッセンスとして取り入れて欲しいのは、最初から支援を強要しないことです。

初期宣伝では、なるべく多くの人にクラウドファンディングをしていることを知らせることが大切です。

ですから、そうした面からも、いきなりハードルの高いお願いをするより、小さなお願いをした方が協力してもらいやすくメリットがありますし、相手も『支援して欲しい』と言われるより遥かに気が楽です。

また、私は行っていませんが、YouTubeなどの生放送を活用してクラファンの説明会を開いているプロジェクトがあり、そうした所は支援額を大きく伸ばしていました。

その際は、「But you are free」は使いやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。





また、友人にページのシェアをお願いするときは必ず理由を添えてください

「影響力の武器」という著名な行動心理学の本で、お願いをする際は「理由を添える」ことで、意図した行動を促せると紹介されています。

実はこのテクニックは、もっともらしい理由でなくても良いことが知られています。

たとえば、コピーの順番待ちをしていて「先にコピーをさせてもらえませんか?コピーをとりたいので」という意味不明な理由でも、94%の人がコピーを先に取らせてもらえたという実験結果があります。

また、私は実際友達が少ないので本当に連絡先を知らないのですが、理由を添えたことで沢山の方からシェアしていただけました。

また、これを応用してフット・イン・ザ・ドアというテクニックも使えるのですが、少し強引なので興味のある方はネットで調べてみてください。



上記のようにお願いをしたことで、私のクラファンは知り合いに一気に広まりました。

また、依頼文の「●●」には中学校・高校・小学校・サークル・スポーツなどあらゆるコミュニティーを指定して宣伝をお願いしました。

そうすることで、複数の人から同じコミュニティーへシェアが起こりますので、ひとりからシェアされるよりも印象に残りやすくなります

このように宣伝をしたことで、2日で目標金額を達成し、何度か検索上位に表示させることができました。

ただ、何度も言うように、私はメインリターンの餃子をトップ画とタイトルに入れなかったので、そのチャンスを生かすことは出来ませんでした。

ですから、あなたのプロジェクトでは、検索表示でリターンをアピール出来るように必ず工夫してください。





Facebook広告は少額で利用可能ですので、他の広告よりも手軽に行うことができます。

地域・年齢・趣味・家族構成などのFacebookデータを活用し、届けたい人に向けて広告を配信できるので、上手く使えば高い効果が期待できます。

設定方法は他の方が詳しく解説されているので、そちらをご参照ください。

https://webtan.impress.co.jp/e/2019/07/02/32754 

ここでは、私が実際に使用した配信先の設定をご紹介します。
<パターン1>近隣
店舗から半径3km以内に住む25歳以上の男女
<パターン2>広域
・日本に住んでいる30歳以上の男女のうち
・クラウドファンディングに関心があり、その中でも料理/外食に興味がある人 かつ
・最近コールトゥアクションボタン(購入/問い合わせボタン)を押した人
中でも効果を感じたのは近隣向けの<パターン1>です。

その理由は2つあり、
・お客さんにプロジェクトの存在を知ってもらえた
・シェアした/された知人たちがプロジェクトを思い出すきっかけになったからです。


詳しくは割愛しますが、日本生まれのマーケティング ランチェスター戦略で考えると、ページへの訪問回数が増えると訴求力が2乗になることが分かります。

つまり、1回なら1倍ですが、2回なら4倍、3回なら9倍です。

ですから、ページに何度も足を運んでもらえる方が効果が高くなるのです。

その意味では、SNSを活用すると同じように思い出すきっかけを自然と作れるので効果が上げやすいです。

ただし、宣伝を複数回すると嫌がられてしまうので注意も必要です。

===

今回も長くなってしまいました。

これで、私が紹介するテクニックは以上となります。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

舞台裏公開はこれで以上となりますが、私のクラウドファンディングが落ち着いてから、総括として最後の記事を投稿したいと思います。

次回をお楽しみに!

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